ジゴキシン有害性問題は方法論問題に拡大
Digoxin-mortality: randomized vs. observational comparison in the DIG trial
背景
強心配糖体の心血管有害性の問題には未だ混乱がある。ドイツHannover Medical SchoolのDavilaらは、心不全患者に対するジゴキシン有益性に関する唯一の大規模RCTであったDIG試験(結論は「中立的」)の結果をさらに二次解析した。同試験参加者6,800名中44%はランダム化前からジゴキシンを服用しており、その半数がジゴキシン治療から脱落していた。同試験主要結果と非ランダム化群での観察結果を比較した。
結論
死亡(HR:1.22)・心不全入院(HR:1.47)は、二次解析でもランダム化前にジゴキシン治療を行っていた患者に多かった。そして、これらのリスクはプラセボに移行しても高かった(HR:1.24)。
評価
2015年の代表的メタアナリシスが「嫌疑は十分」としているものだが(https://academic.oup.com/eurheartj/article/36/28/1831/2398087)、「処方バイアス」とする見解もある。この二次解析は、RCTでも参加者中の観察群部分でジゴキシンの有害性バイアスが出たとして、結論はRCTに依拠すべき(「中立」結論の維持)、と主張するものである。ジゴキシン問題は、結論の問題であるとともに方法論の問題にも拡大した。