MASH関連肝硬変に減量・代謝改善手術:SPECCIAL
Long-term liver outcomes after metabolic surgery in compensated cirrhosis due to metabolic dysfunction-associated steatohepatitis
背景
代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)による肝硬変患者における肝臓関連の有害事象(MALO)のリスクを軽減する治療法はまだない。
アメリカCleveland ClinicのNissenら(SPECCIAL)は、肥満および代償性MASH関連肝硬変患者168名に対する代謝改善手術と非外科的治療の有効性を比較する観察研究を行った。一次アウトカムは、MALO発現までの時間であった。
結論
15年後、代謝改善手術群のMALO発生率は72%、非代償性肝硬変累積発生率は80%低下した。代償性MASH関連肝硬変に対する承認済みの薬物療法がない場合、代謝手術は肝硬変の経過に影響を与える安全で効果的な治療オプションとなりうる。
評価
同クリニックが長年追求している方向性で、すでにNASHに対する有効性を報告している(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2786270)。観察研究ではあるが、MASHに対する一応の効果を結論した初めての研究となった。この手法の一つの利点は、医療費削減の可能性(術前の約4,500ドルから手術後の約 2,000 ドルへ)だが、有益性と安全性に関しては、新規抗肥満薬と比較されることになる。