半数以上の国では50歳以下での大腸がんが増加傾向:世界50ヵ国調査
Colorectal cancer incidence trends in younger versus older adults: an analysis of population-based cancer registry data

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet Oncology
年月
January 2025
26
開始ページ
51

背景

近年、先進国を中心に50歳未満の若年発症大腸がんの増加が報告されている。
アメリカAmerican Cancer SocietyのSungらは、世界保健機構国際がん研究機関(WHO-IARC)のデータベース、Cancer Incidence in Five Continents Plusを利用し、世界50の国・地域における過去(1943〜2003)および最近(2015〜17)の診断年齢別大腸がん罹患率の傾向を調査した。

結論

直近5年間の若年大腸がんの罹患率は、オーストラリア、プエルトリコ、ニュージーランド、アメリカ、韓国が最も高く、ウガンダとインドで最も低かった。高齢(50歳以上)大腸がんの罹患率が最も高かったのはオランダとデンマークで、最も低かったのは同じくウガンダとインドであった。
最近10年間の若年大腸がんの年間平均変化率(AAPC)は、23ヵ国で横ばいであったが、それ以外の27ヵ国では増加しており、ニュージーランド(3.97%)、チリ、プエルトリコ、イギリスで最も高かった。この27ヵ国のうち、14ヵ国は高齢大腸がんについては低下または横ばい傾向にあった。
若年・高齢ともAAPCが増加傾向だったのは13ヵ国で、このうちチリ、日本、スウェーデン、オランダ、クロアチア、フィンランドでは高齢者のAAPが高く、タイ、マルティニーク、デンマーク、コスタリカでは若年者のAAPが高く、チュルク、エクアドル、ベラルーシでは年齢による差はなかった。

評価

各国の高品質ながん登録のデータを用いたこれまでで最も包括的な国際調査であり、高所得国に限らず多くの国・地域で若年大腸がんの増加がみられることを明らかにした。
原因については食生活・ライフスタイル因子の寄与が有力視されているが、確定はしていない。予防・検診戦略と合わせてグローバルな公衆衛生課題となる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)