高リスクVTE患者への長期DOACは減量できるか:RENOVE
Extended treatment of venous thromboembolism with reduced-dose versus full-dose direct oral anticoagulants in patients at high risk of recurrence: a non-inferiority, multicentre, randomised, open-label, blinded endpoint trial
背景
再発高リスクの静脈血栓塞栓症(VTE)患者への直接経口抗凝固薬(DOAC)の最適投与量は。
フランスBrest UniversityのCouturaudら(RENOVE)は、急性症候性VTE患者2,768名を対象に、アピキサバンまたはリバーロキサバンの減量投与と標準全量投与の有効性と安全性を比較するオープンラベル非劣性RCTを行った(追跡期間中央値 37.1ヵ月)。
一次アウトカムは、致死的/非致死的肺塞栓症(PE)の再発または、孤立性近位深部静脈血栓症(DVT)を含むVTE再発であった。
結論
一次アウトカムにおいて減量の非劣性は確認されなかった[VTEの5年累積再発率は、減量群2.2%、全量群1.8%であった(調整HR 1.32、絶対差0.40%、非劣性p=0.23)]。重大または臨床的に重要な出血の5年累積発生率は、減量群9.9%、全用量群15.2%(調整HR 0.61)であった。
減量群の82.1%と全量群の83.0%に有害事象があり、減量群の27.0%と全量群の30.3%に重篤な有害事象が認められた。期間中の死亡の5年累積発生率は、減量群で4.3%、全量群で6.1%であった。
評価
高リスクVTE患者の長期DOACの減量は、臨床現場で広く行われているが、減量推奨のエビデンスは不足しており、多くのガイドラインが強力な推奨を出すことができていない。この状況下で行われた初めてのRCTだったが、非劣性は確定できなかった。ただし、両群とも再発率が低く、減量により臨床的に重要な出血が大幅に減少したことから、この方策は選択肢として支持される可能性がある。サブグループ解析の検出力が限られているため、減量不適応のサブグループを特定するには、さらなる研究が必要である。