脳出血後のAF患者にDOACを使うべきか:PRESTIGE-AF
Direct oral anticoagulants versus no anticoagulation for the prevention of stroke in survivors of intracerebral haemorrhage with atrial fibrillation (PRESTIGE-AF): a multicentre, open-label, randomised, phase 3 trial
背景
直接経口抗凝固薬(DOAC)は心房細動(AF)患者の血栓塞栓症リスクを減らすが、脳出血(ICH)生存者における有効性とリスクは、確定していない。
イギリスImperial College LondonのVeltkampら(PRESTIGE-AF)は、欧州6ヵ国75施設で、自然発生的ICHおよびAFで、抗凝固療法の適応があり、mRS4以下の患者319名を、DOAC群または抗凝固療法なしの対照群に割り付ける、第3相RCTを行った。一次アウトカムは、初回虚血性脳卒中と初回再発性ICHであった。
結論
追跡期間中央値1.4年で、DOAC群は対照群と比較して、初回虚血性脳卒中の発生率が有意に低かった(HR 0.05)が、再発性ICHの発生率はDOAC群で有意に高かった(10.89)。重篤有害事象は、DOAC群で158名の患者中70名(44%)に、抗凝固薬非投与群で161名の患者中89名(55%)に発生した。
評価
多くの先行研究からの「微妙な」データを踏まえて行われた、このテーマに関する初めての第3相試験結果である。DOACがAFを伴うICH生存者における虚血性脳卒中の予防に有効であることを再確認するとともに、この利点がICH再発等重大な出血性合併症のリスク激増により、部分的に相殺されることも再確認した。著者らは有益性が相当程度リスクによってoffsetされると明言し、さらなる検討が必要、としている。