P2Y12阻害薬選択は遺伝子型で決める?
A Genotype-Guided Strategy for Oral P2Y12 Inhibitors in Primary PCI
背景
PCI施行患者へのP2Y12阻害薬の有効性を遺伝子型に基づいて決める意義はあるか。オランダSt. Antonius HospitalのClaassensら(POPular Genetics)は、これを検証するRCTを行った(n=2,488)。患者を遺伝子型基準治療群とチカグレロル/プラスグレルによる標準治療群に割り付け12ヵ月間治療した。遺伝子型基準群ではCYP2C19*2/3機能喪失型アレル保有患者にはチカグレロルまたはプラスグレルを、そうでない患者にはクロピドグレルを投与した。一次アウトカムは、12ヵ月の時点でのネット有害事象:全死因死亡・心筋梗塞・確定的ステント血栓症・脳卒中・PLATO基準大出血(一次複合非劣性アウトカム)と PLATO基準大出血/小出血(一次出血アウトカム)である。
結論
一次アウトカムで遺伝子型基準治療の非劣性を認めた(絶対差:−0.7%ポイント)。一次出血性アウトカムは遺伝子型基準治療群が非有意にだが少なかった(HR:0.78)。
評価
「ゲノム医療」の流れの中で一定の方向感を出したが、プラスグレルがチカグレロルよりよい、というISAR-REACT 5結果もあり、ガイドライン変更的とは言えない。さらに、コストベネフィットという別次元の問題もある。