血管内治療を受ける急性期脳梗塞患者での常圧高酸素療法:OPENS-2試験
Normobaric hyperoxia combined with endovascular treatment for acute ischaemic stroke in China (OPENS-2 trial): a multicentre, randomised, single-blind, sham-controlled trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
February 2025
405
開始ページ
486

背景

技術の進歩により急性虚血性脳卒中における再開通率は向上しているものの、良好アウトカム律には改善の余地があり、再開通療法と組み合わせた神経保護療法が様々に模索されている。
中国Capital Medical UniversityのLiらは、同国26施設で、前方循環系の主幹動脈閉塞による発症6時間以内の急性虚血性脳卒中患者を登録し、常圧酸素療法(非再呼吸式マスクを通じて10 L/分、4時間、要挿管患者ではFiO2 1.0)、または偽治療(1 L/分、要挿管患者ではFiO2 0.3)を割り付け、90日後の機能的アウトカムを比較する多施設共同単盲検ランダム化比較試験、OPENS-2試験を実施した(n=282)。

結論

90日後の修正ランキンスケールの中央値は、常圧酸素療法群で2、偽治療群で3であった(調整済み共通オッズ比 1.65)。
90日時点で常圧酸素療法群の10%、偽治療群の12%が死亡した。重篤な有害事象は各群20%、23%に認められた。

評価

脳卒中患者に対する常圧酸素療法については、血栓溶解療法・血管内治療が標準化する以前に何度か検証が行われていたが、明確なベネフィットは示されていなかった(もっとも最近ではSO2S試験)。
本試験は、血管内治療の補助療法として行われる常圧高酸素療法が機能的アウトカムを改善することを示唆した。血栓溶解療法との併用を検証するOPENS-3試験も進行中である(NCT05965687)

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)