急性脳梗塞での神経保護薬Nerinetide、血栓溶解療法適応外の患者に絞っても効果示せず:ESCAPE-NEXT試験
Efficacy and safety of nerinetide in acute ischaemic stroke in patients undergoing endovascular thrombectomy without previous thrombolysis (ESCAPE-NEXT): a multicentre, double-blind, randomised controlled trial
背景
Nerinetideは、シナプス後肥厚部タンパク質(PSD-95, postsynaptic density protein 95)を阻害することで、虚血による神経毒性反応を停止させる神経保護薬である。急性虚血性脳卒中患者を対象とした第3相ESCAPE-NA1試験では効果が認められなかったものの、アルテプラーゼの投与を受けていない患者では有意な差が見られており(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30258-0)、血栓溶解療法の適応がない患者を対象とした確認が求められていた。
カナダUniversity of CalgaryのHillらは、世界9ヵ国77施設の、発症12時間以内の前方循環系主幹動脈梗塞患者で、静脈内血栓溶解療法歴のないものを、nerinetideまたはプラセボの単回静注へと割り付け、90日後の機能的良好アウトカムを比較する第3相RCT、ESCAPE-NEXT試験を実施した(n=850)。
結論
ランダム化後90日時点で機能的良好アウトカム(修正ランキンスケールが0-2)を達成した患者の割合は、nerinetide群で45%、プラセボ群で46%であった(オッズ比 0.97)。
重篤有害事象は両群同等であった。
評価
Nerinetideは追加的検証でも効果を示さなかった。同時にLancet誌に発表されていた、救急隊員による超早期投与を検証したFRONTIER試験も否定的結果に終わった(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(25)00193-X)。
ただ、ここまでの3試験を統合したpost-hocメタ解析では、特定のサブグループ(発症3時間以内、血栓溶解療法なしの再灌流)にベネフィットが示唆されており、さらなる検証が行われる可能性も残されている。


