上部消化管出血でリスクを正確に予測するスコアは?
Assessment of Prognostic Scores for Emergency Department Patients With Upper Gastrointestinal Bleeding
背景
上部消化管出血は致命的となるリスクを持った内科エマージェンシーであり、リスクの層別化による管理の改善を目指して、複数の予後予測スコアが開発されてきた。
フランスSorbonne UniversiteのThiebaudらは、同国38施設で上部消化管出血により入院した成人患者を対象とした多施設後向コホート研究を行い、システマティックな検索によって特定された既存の予後予測スコアのパフォーマンスを評価・比較した。
結論
39種の予後予測スコアが特定され、うち12種について解析が可能であった。
990名の患者のうち76.4%にあたる755名が、7日以内に輸血・内視鏡的止血を含む治療的介入あるいは30日以内に死亡に至った。この複合アウトカムを予測する能力が最も高かったのがGlasgow-Blatchfordスコア(GBS)で曲線下面積は0.869、これに0.872の修正GBS、0.855のGBS 2が続いた。
一方で、治療的介入を要さない低リスク患者の予測パフォーマンスは、GBS≦1で感度0.99、陰性適中率0.89、修正GBSで感度0.99、陰性適中率0.84であった。
評価
上部消化管出血による入院患者での検証では、GBSと修正GBSが最も優れたリスク層別化パフォーマンスを示した。
ただし、GBSでも一定の偽陰性が生じることから、総合的な判断が重要になる。


