切除可能食道がんでは周術期FLOT療法が術前化学放射線療法を上回る:ESOPEC試験
Perioperative Chemotherapy or Preoperative Chemoradiotherapy in Esophageal Cancer
背景
切除可能な局所進行食道腺がんの予後は手術のみでは不良であり、術前化学療法・術前化学放射線療法・周術期化学療法などが提案されているが、最良のアプローチは不明である。
ドイツBielefeld UniversityのHoeppnerらは、同国25施設の切除可能な食道腺がん患者を、周術期FLOT化学療法(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)、またはカルボプラチン、パクリタキセルを用いた術前化学放射線療法へと割り付け、全生存率を比較する第3相RCT、ESOPEC試験を実施した(n=438)。
結論
3年生存率は、FLOT群で57.4%、術前化学放射線療法群で50.7%(ハザード比 0.70)、3年無増悪生存率はそれぞれ51.6%、35.0%と(0.66)、いずれもFLOTにより有意に改善した。
割り当て治療が実施された患者でのグレード3以上の有害事象発現は、FLOT群で58.0%、術前化学放射線療法群で50.0%に認められた。重篤有害事象は各群47.3%、41.8%に認められ、術後90日以内の死亡率は各3.1%、5.6%であった。
評価
FLOT4-AIO試験とCROSS試験でベネフィットを示した治療を直接比較する第3相試験で、周術期FLOT療法の優位を証明した。
同じくASCO 2024で発表された日本のNExT(JCOG1109)試験も、ドセタキセル+シスプラチン+5-FUの三剤術前療法による3年OSの改善を示しており(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(24)00745-1)、日本ではそちらが標準治療とみなされるであろう。