夜間の航空機騒音は心臓を有害リモデリングする
Higher Aircraft Noise Exposure Is Linked to Worse Heart Structure and Function by Cardiovascular MRI
背景
航空機騒音が心臓の構造と機能に与える影響は。
イギリスUniversity College LondonのCapturらは、主要空港近くに居住するUKバイオバンク(UKB)参加者で心臓MRI(CMR)を受け、聴覚障害がない3,635名を対象に、航空機騒音への曝露と心臓リモデリングとの関連を検討した。
夜間の航空機騒音レベル(L night)および昼・夕方・夜の航空機騒音レベル(L den)は、イギリス民間航空局から提供された。
結論
高いL night曝露により、左室心筋重量(LVM)が7%増加し、左室壁が4%肥厚した。このLVリモデリングは、LVMの7%増ごとにMACEリスクが32%増加することと関連している。
LV心筋動態も悪化していた(例:全周性ストレインが8%低く、MACEリスクが27%高い)。
高L night曝露に伴う典型的なCMR異常を経験した仮想的な個人は、MACEのリスクが4倍高くなる可能性がある。所見はL nightで最も明確であったが、L denを用いた解析でもほぼ同様であった。BMIと高血圧が、観察された関連性の10〜50%を媒介した。追跡期間中に引っ越しをせず、より高い航空機騒音レベルに継続的に曝されていた参加者は、CMR表現型が最も悪かった。
評価
騒音10 dB増ごとの虚血性心疾患発生の相対リスクが1.10であること(https://www.mdpi.com/1660-4601/15/2/379)、夜間の航空機騒音への曝露が心血管系に急性インパクトを与えること(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33245107/)がすでに報告されており、この研究は、その心構造・機能への影響をCMRを用いて初めて基礎づけた。EUでは航空乗客数が2040年までに50%近く増加すると予測されており、公共政策にも航空業界にも影響する結果である。