THEMIS:安定冠動脈疾患DM患者へのPCIでのチカグレロル使用は疑問
Ticagrelor in Patients with Stable Coronary Disease and Diabetes
背景
THEMISは、糖尿病の安定冠動脈疾患(MI既往無し)患者へのPCIにおけるチカグレロルのアスピリンへの併用の効果・安全性をプラセボと比較する大規模RCTであった(n=19,220)。フランスUniversite de ParisのStegらは、その主試験結果を発表している。一次有効性アウトカムは心血管因死亡・心筋梗塞・脳卒中、一次安全性アウトカムは、TIMI基準による重大出血である。
結論
フォローアップ期間中央値39.9ヶ月で、チカグレロル追加の一次有効性アウトカム(虚血性心疾患発症)効果を認めた(HR:0.90)。しかし、一次安全性アウトカムはカグレロル追加が劣った(HR:2.32)。頭蓋内出血が多かったが、致死的出血に有意差はなかった。
評価
基本的にはチカグレロル追加はあまり推奨されない、という結果になろう。しかし、これを受けて行われたサブスタディは、PCI既往の患者の場合には同薬の長期便益は害を上回る、としている(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)31887-2/fulltext)。