口腔内の細菌叢は頭頸部がんのリスクと関連する
Oral Microbiome and Subsequent Risk of Head and Neck Squamous Cell Cancer
背景
近年の研究は、口腔・腸内の細菌叢が消化器系の発がんに関与しているという強い示唆をもたらしている。
アメリカNYU Grossman School of MedicineのKwakらは、3つの疫学コホートのいずれかに登録され、口腔細菌叢サンプルを提供した参加者を対象に前向コホート内症例対照研究を実施し、口腔の細菌・真菌叢がHNSCC発症リスクと関連するか検証した。
結論
中央値5.1年の追跡期間中に発症したHNSCC症例236名、マッチング対照症例485名が対象となった。
ベースラインの細菌叢の多様性はHNSCCと関連しなかったものの、13種の口腔細菌種がHNSCCと特異的に関連した。新たに同定されたPrevotella salivae、Streptococcus sanguinis、Leptotrichia属のほか、Betaproteobacteria綱、Gammaproteobacteria綱に属する細菌も含まれていた。
歯周病原性細菌(red/orange complex)はHNSCCリスクと中等度に関連した(1 SDあたりのオッズ比 1.06)。また、22種の細菌に基づく細菌叢リスクスコアが1 SD上昇すると、HNSCCリスクは50%増加した(他変量オッズ比 1.50)。
HNSCCと関連する真菌類は同定されなかった。
評価
口腔細菌叢と頭頸部がんの関連について、説得力のあるエビデンスをもたらした。
口腔健康の維持が(歯周病だけでなく)頭頸部がんの予防にもなりうるという事実は、重要なメッセージとなる。