PCI既往・糖尿病のCAD患者へのPCIではチカグレロル+アスピリンDAPT
Ticagrelor in patients with diabetes and stable coronary artery disease with a history of previous percutaneous coronary intervention (THEMIS-PCI): a phase 3, placebo-controlled, randomised trial
背景
THEMIS主試験は、糖尿病の安定冠動脈疾患(MI既往無し)患者へのPCIにおいては、チカグレロル+アスピリンが虚血性イベント率を下げる一方大出血リスクが高いことを示した(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1908077)。同試験のBhattら(Harvard Medical School:THEMIS-PCI)は、PCI既施行患者を対象とする部分集団解析を行った(n=11,154)。一次エンドポイントは、心血管因死・MI・脳卒中の複合である。
結論
チカグレロル併用の一次エンドポイント有効性を認めた(HR:0.85)。チカグレロル群においてTIMI大出血イベントリスクが有意に高かったが(HR:2.03)、致死出血・頭蓋内出血には差がなかった。したがって、正味の臨床便益はチカグレロル併用が高い。
評価
主試験結果が問題的であったため、より有効な部分集団を探索し、PCI既往で出血リスクの少ない場合にはチカグレロルDAPTが推奨できる、としたものである。PEGASUS-TIMI 54やPLATOからも支持されうる方向性だが、低用量リバーロキサバンというオプションも現れており、チカグレロルDAPTが主流となるかどうかは不明である。