急性虚血性脳卒中に対する血管内再灌流療法後の動脈内テネクテプラーゼは無益:POST-TNK
Intra-Arterial Tenecteplase Following Endovascular Reperfusion for Large Vessel Occlusion Acute Ischemic Stroke: The POST-TNK Randomized Clinical Trial
背景
主幹動脈閉塞(LVO)による急性虚血性脳卒中の患者に対する血管内再灌流療法後の動脈内テネクテプラーゼは有益か。
中国The Second Affiliated Hospital of Chongqing Medical UniversityのHuangら(POST-TNK)は、同国内34施設で、24時間以内に近位のLVOによる脳卒中を発症し、血管内再灌流療法によってほぼ完全または完全な再灌流が達成され、処置前にt-PA療法を受けなかった患者540名を対象に、動脈内テネクテプラーゼ投与の有益性を検証するRCTを行った(対照:動脈内血栓溶解療法なし)。
一次有効性アウトカムは、90日時点の障害なしの生存(修正Rankinスケール[mRS]スコア0または1)、一次安全性アウトカムは、90日死亡と48時間以内の症候性脳内出血の発生であった。
結論
一次有効性アウトカムは、テネクテプラーゼ追加により数値的には向上したが、有意差はなかった(49.1% vs. 44.1%、調整リスク比1.15)。結果はサブグループ間で一貫していた。
一次安全性アウトカムは、テネクテプラーゼ追加により90日死亡(16.0% vs. 19.3%)と症候性脳内出血(6.3% vs. 4.4%)の増加傾向がみられた。
評価
JAMAは、同テーマでウロキナーゼの有益性について検討したPOST-UK結果を併載しており、そこでも有意差は示されなかった(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2829205)。
JAMA Editorialは、動脈内血栓溶解療法を臨床診療に導入することを支持する証拠は十分でないとしつつも、2つの中国研究に一定の留保をつけ、TECNO(https://clinicaltrials.gov/study/NCT05499832)や2BE3(https://clinicaltrials.gov/study/NCT06034847)などの追加試験で、さらにデータが得られる、と指摘している。