カルシウム摂取は大腸がん発症リスクの低下と関連:イギリス50万人調査
Diet-wide analyses for risk of colorectal cancer: prospective study of 12,251 incident cases among 542,778 women in the UK
背景
大腸がんの食事性リスク因子としては、アルコール飲料と加工肉の発がん性が確実視されているが、他の食品・飲料・栄養素については?
イギリスUniversity of OxfordのPapierらは、イングランド・スコットランドの乳がん検診に招待された女性を対象とする大規模前向研究、Million Women Studyにおいて、質問票調査のデータに基づく食事因子97種と、その後の大腸がんリスクを系統的に解析した(n=542,778)。
さらにその他3つのレジストリ・データを対象にターゲット遺伝子解析を行い、ヨーロッパ系集団で牛乳摂取量と堅固に関連するSNPを検討、遺伝的に予測される摂取量と大腸がんリスクとの関連も検討した(n=99,152)。
結論
Million Women Studyでは、16.6年で12,251件の大腸がん発症があった。
17種の食事因子が大腸がんのリスクと関連しており、うちアルコールとカルシウムの摂取が最も強く相関した。1日20 gのアルコールは相対リスク1.15で正に相関、1日300 mgのカルシウムは相対リスク0.83の負の相関があった。ほか、乳製品、ヨーグルト、リボフラビン、マグネシウム、リン、カリウム、さらに朝食用シリアル、果物、全粒穀物、炭水化物、食物繊維、総糖質、葉酸、ビタミンCが負の相関を有した。赤肉/加工肉は正の相関を有した。
遺伝的に予測された牛乳摂取量と大腸がんとの負の相関は、上の結果よりも大きかった(1日200 g当たり相対リスク0.60)。
評価
検討された食事因子の中で、カルシウムの摂取は、大腸がんリスクの低下と最も強く関連した。
カルシウム摂取による大腸ポリープ予防については散発的にRCTが実施されてきたが、本研究もカルシウムの予防効果を示唆する重要なデータとなる。