HER2陽性早期乳がんでの術後T-DM1の利益は長期的:KATHERINE試験の7年結果
Survival with Trastuzumab Emtansine in Residual HER2-Positive Breast Cancer
背景
KATHERINE試験は、タキサン化学療法を含む術前薬物療法後に残存浸潤性病変のあったHER2陽性早期乳がん患者(n=1,486)での術後療法として、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)またはトラスツズマブを比較した第3相RCTであり、T-DM1群で3年無浸潤疾患生存率が改善することを示した(http://doi.org/10.1056/NEJMoa1814017)。
アメリカNational Surgical Adjuvant Breast and Bowel ProjectのGeyerらは、同試験における無浸潤疾患生存率の最終解析、全生存率の第二回中間解析の結果を報告した。
結論
追跡期間8.4年(中央値)の時点で、無浸潤疾患生存率はT-DM1群で有意に改善されたままであった(非層別ハザード比 0.54)。7年無浸潤疾患生存率は、T-DM1群80.8%、トラスツズマブ群67.1%であった。
死亡率についてもT-DM1によって有意なリスク低下もたらされた(0.66)。7年全生存率は、T-DM1群89.1%、トラスツズマブ群84.4%であった。
評価
この7年結果においても、T-DM1はトラスツズマブを大きく上回るベネフィットを維持していた。
T-DM1群でも3年浸潤疾患発生率が10%を超えるという事実は、さらなる治療強化の必要性を示唆しており、特にtucatinibを追加するCompassHER2 RD試験(NCT04457596)、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と直接比較するDestiny-Breast05試験(NCT04622319)などの結果が注目されている。