再発・難治多発性骨髄腫での二重特異性抗体の併用療法が登場
Talquetamab plus Teclistamab in Relapsed or Refractory Multiple Myeloma
背景
TalquetamabはGタンパク質共役型受容体GPRC5DとCD3に結合する二重特異性抗体であり、teclistamabはB細胞成熟抗原(BCMA)とCD3に結合する二重特異性抗体である。ともに複数ラインの治療歴を持つ再発・難治多発性骨髄腫(r/r MM)に対する新規治療薬であるが、両者を併用した二重抗原標的化は治療効果をさらに高めることができるだろうか?
イスラエルTel Aviv Sourasky Medical CenterのCohenらは、3クラスの治療歴を有するr/r MM患者を対象にtalquetamabとteclistamabの併用療法を評価した第1b-2相試験(RedirecTT-1)から、第2相推奨用量を決定する第1相用量漸増試験パートにおける初期の安全性・有効性結果を報告した。
結論
94名が治療を受け、うち44名が決定された第2相推奨用量での治療を受けていた。
3名に用量制限毒性が認められ、うち1名は第2相推奨用量でのグレード4血小板減少症であった。いずれの用量でも最も一般的な有害事象は、サイトカイン放出症候群、好中球減少症、味覚変化、発疹以外の皮膚事象であった。96%の患者でグレード3-4の有害事象が発現した。グレード3-4の感染症は患者の64%に発現した。
第2相推奨用量では、患者の80%に奏効が認められ、髄外病変を有する患者でも61%に認められた。第2相推奨用量で18ヵ月後にも奏効が持続する確率は86%、髄外病変を有する患者で82%であった。
評価
Talquetamabとteclistamabの併用は、3クラス治療歴を有するr/r MM患者で深く持続的な奏効を示した。
有害事象として感染症の発生率の高さは気がかりではあるものの、第3相MonumenTAL-6試験に期待がかかる(NCT06208150)。