CAR-T細胞療法後の二次がんリスクは他の治療法と変わらず:メタ解析
Second Primary Malignancies after CAR T-Cell Therapy: A Systematic Review and Meta-analysis of 5,517 Lymphoma and Myeloma Patients
背景
2023年末アメリカ食品医薬品局(FDA)が、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法後の二次がんについて調査を行うことを発表し、さらに全てのCAR-T製品に黒枠警告を記載したことにより、CAR-T細胞療法の毒性に関する懸念はピークに達した。
ドイツLMU MunichのTixらは、リンパ腫・骨髄腫に対するCAR-T細胞療法後の二次原発悪性腫瘍(SPM)の頻度・サブタイプを特定するべく、既存文献のシステマティックレビューとメタアナリシスを実施した。
結論
18件の臨床試験、7件のリアルワールド研究に含まれた、総計5,517名の患者で326件のSPMが特定された。
追跡期間21.7ヵ月(中央値)で、SPMの点推定値は6.0%であった。SPMは、臨床試験(vs. リアルワールド研究)、追跡期間の長さ、前治療のライン数と関連しており、それぞれ独立したリスク因子であった。
CAR-T細胞療法と標準治療をランダム化した4試験を対象としたサブグループ・メタアナリシスでは、治療群間のSPMリスクは同程度であった。
SPMのサブタイプとしては、血液悪性腫瘍が37%と最も多く、固形がん(27%)、非メラノーマ皮膚がん(16%)と続いた。T細胞性悪性腫瘍は稀であった(1.5%)。
評価
昨年、NEJMに発表されたスタンフォード大のケースシリーズ(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2401361)と同様、CAR-T療法後の二次がんリスクは標準治療と差がなく、注目されているT細胞悪性腫瘍はわずか1.5%であった。
もちろん治療歴を重ねることのリスクはあるものの、CAR-T療法自体の選択を躊躇わせるデータは乏しい。