T2D高齢者に感染症予防のための血糖厳格コントロールは不要
Risk of Infection in Older Adults With Type 2 Diabetes With Relaxed Glycemic Control
背景
ガイドラインは、大部分の2型糖尿病(T2D)高齢者に対して厳格な血糖コントロールを推奨していないが、コントロールが不十分の場合の感染リスクは。
アメリカYale School of MedicineのLipskaらは、103,242名の高齢患者を対象とする後向コホート研究により、緩やかな血糖コントロール(relaxed glycemic control)が強化血糖コントロールに比して、感染症(呼吸器・泌尿生殖器・皮膚・軟部組織・骨・敗血症)による入院の発生率と相対リスクを増すかを検討した。
患者は、ベースラインの血糖コントロールによってHbA 1c 8%〜9%、7%〜8%、6%〜7%の3群に層別化した。
結論
12ヵ月の追跡期間中、感染症による入院は1,000人年あたり51.3であり、交絡因子調整後も群間有意差はなかった。感染症のサブカテゴリのうち、骨・皮膚・軟部組織の感染症のみの入院の調整相対リスクについては、HbA 1c 8%〜9%未満群が、6%〜7%群より有意に高かった(調整相対リスク 1.33)。
評価
HbA1cが8%を超えない限り、T2D高齢患者の感染症入院のリスクは増えないという、ガイドライン肯定的な結果である。著者らは、老人ホームなどへの移行期にある患者の場合、皮膚や軟部組織、骨の感染症の比較的小さなリスクより、血糖値を少し緩くコントロールするメリットのほうが上回る場合があるだろう、としている。