PICCの3素材に優劣はあるか
A Comparison of Peripherally Inserted Central Catheter Materials
背景
現在の標準末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)はポリウレタン素材だが、2つの新素材(疎水性PICC・クロルヘキシジンPICC)は、それに優るか。
オーストラリアCentre for Children’s Health ResearchのUllmanらは、PICC留置予定の成人と小児患者1,098名を疎水性PICC・クロルヘキシジンPICC・標準的ポリウレタンPICCに割り付ける優越性RCTを実施した。追跡期間は8週間で、一次アウトカムはデバイス起因の感染性(血流/局所)・非感染性(血栓症/断裂/閉塞)合併症の複合であった。
結論
疎水性・クロルヘキシジン・標準的ポリウレタン間に、一次アウトカム有意差は見出されなかった:発生率各5.9%・9.9%・6.1%(オッズ比:疎水性 vs. 標準的ポリウレタン0.96, クロルヘキシジン vs. 標準的ポリウレタン1.71)。PICC留置期間中の全原因合併症は、各21.5%・38.6%・21.7%で、介入による有害事象は報告されなかった。
評価
現在では Cochrane Reviewに基づいて、クロルヘキシジンPICCを選好する向きも多いが(https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD007878.pub3/full)、基本的にはコスト観点から選択が行われている。この大規模RCTでは、3種のPICC素材間に優劣はないという結論となった。ただし、PICC閉塞はクロルヘキシジンPICCで他素材より頻繁に発生し、その理由は不明である、という。