臨床的にリンパ節転移陰性の早期乳がん患者でセンチネルリンパ節生検は省略可能:INSEMA試験
Axillary Surgery in Breast Cancer - Primary Results of the INSEMA Trial
背景
ACOSOG Z0011試験(https://doi.org/10.1001/jama.2011.90)は、センチネルリンパ節生検(SLNB)で転移を認める患者であっても、場合によっては腋窩リンパ節郭清(ALND)を省略可能であることを示し、後続の臨床試験ではさらなるデ・エスカレーションが検討されている。
ドイツUniversity of RostockのReimerらは、乳房温存術(部分切除術)を予定する臨床的にリンパ節転移陰性(cN0)のT1/T2浸潤性乳がん患者を、SLNB省略群またはSLNB実施群へと1:4で割り付け、SLNB実施群で病理学的にセンチネルリンパ節陽性となった患者を、さらに完全ALND実施群と郭清を行わないSLNB単独群へと1:1で割り付ける非劣性RCT、INSEMA試験を実施した(n=5,502)。
結論
per-protocol解析(n=4,858)における5年無浸潤疾患生存率は、SLNB省略群で91.9%、SLNB実施群で91.7%であり、ハザード比(0.91)の信頼区間上限は、事前に指定された非劣性マージンを下回った。
一次アウトカムイベントを経験した患者(n=525)では、腋窩再発(1.0% vs. 0.3%)、死亡(1.4% vs. 2.4%)の発生に群間差が認められた。安全性解析においては、SLNB省略群の患者でリンパ浮腫の発生が少なく、腕の可動域が大きく、痛みが少なかった。
評価
昨年に発表されたSOUND試験(https://doi.org/10.1001/jamaoncol.2023.3759)に続いて、SLNBが安全に省略可能という結論に達した。
同テーマでさらにBOOG試験(NCT02271828)、NAUTILUS試験(NCT04303715)が控えており、SLNB省略可能な患者の選択を最適化するデータがもたらされると期待される。