急性椎骨脳底動脈閉塞に対する血管内治療の有益性を確認:VERITASメタアナリシス
Endovascular therapy for acute vertebrobasilar occlusion (VERITAS): a systematic review and individual patient data meta-analysis
背景
急性椎骨脳底動脈閉塞(VBO)患者に対する血管内治療(EVT)の有益性には結論が必要である。
中国University of Science and Technology of ChinaのHuら(VERITAS)は、VBO患者を対象とし、EVTと標準的薬物治療を比較したRCTの系統レビュー・患者レベルメタアナリシスを行った。
一次アウトカムは、90日後の良好な機能状態(修正Rankinスケール[mRS]スコア)とした。安全性アウトカムは、症候性頭蓋内出血および90日死亡率であった。
結論
4件(ATTENTION・BAOCHE・BASICS・BEST)、のRCT(患者988名)のデータを解析した。一次アウトカム達成患者率で、EVTが薬物療法に優った(90日mRSスコア0〜3達成 45% vs. 30%、オッズ比[OR] 2.41)。EVT群は、機能的自立度も改善し(OR 2.52)、90日時点での全体的な機能障害度(2.09)・死亡率(0.60)も低下した。一方、症候性頭蓋内出血の発生率は高かった(11.98)。EVTの効果の異質性は、ベースラインの脳卒中重症度および閉塞部位について認められたが、年齢・性別・ベースライン後方循環ASPECTS・心房細動・頭蓋内アテローム性動脈硬化性疾患・発症後画像診断までの時間では差はなかった。
評価
VBOによる虚血性脳卒中患者に対するEVTの有効性と安全性は懸案であったが、BAO患者への有益性に関するレビュー(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36722343/)に続き、中等〜重症VBO患者に対するEVTの有益性を確認し、ガイドラインにインパクトを与える結果となった。ただし、脳卒中重症度が軽度だが、画像上で広範な梗塞を呈するVBO患者に対するEVTの有益性は、未だ不明である。