UK BiobankビッグデータでLDL-CとSBPの心疾患リスクインパクトを精密定量
Association of Genetic Variants Related to Combined Exposure to Lower Low-Density Lipoproteins and Lower Systolic Blood Pressure With Lifetime Risk of Cardiovascular Disease
背景
UK Biobankの遺伝子‐臨床所見関連ビッグデータは、今まで困難だった様々な疾患リスク要因間の関係の定量評価を可能にしている。英University of CambridgeのFerenceらは、同バンク登録者438,952名のデータに基づき、低LDL-C・低SBPへの生涯曝露と心血管イベント(冠血管因死・非致死性的心筋硬塞・冠血管血行再建術)との間の関連を評価した。
結論
LDL-C遺伝子スコアが中央値より高い群はLDL-Cレベルが14.7mg/dL低く、心血管イベントオッズ比(OR)が0.73であった。SBPの遺伝子スコアが中央値より高い群はSBPが2.9 mmHg低く、心血管イベントのORが0.82であった。両値とも高い場合にはORは0.61まで低下した。メタ回帰分析では、LDL-Cの38.67 mg/dL、SBPの10 mmHg低値への曝露は、心血管イベントORを0.22に、心血管因ORを0.32にまで下げた。
評価
ビッグデータ解析により常識を精密化し、例えば、「 LDL-Cを1-mmol/L 減らす毎に心血管イベントリスクが20〜25%減る」というような説明を可能にした。RCTからの類似データも多いが、同バンクの結果は超長期的リスク予測を次第に確実化している。