社会経済ステータスと健康アウトカムの関連性は健康行動で媒介されている
Socioeconomic Status, Diet, and Behavioral Factors and Cardiometabolic Diseases and Mortality
背景
社会経済的ステータス(Socioeconomic status: SES)と食事や健康アウトカムとの関連に対する行動因子の役割は。
中国Fudan UniversityのWangらは、アンケート調査により、食事(代替健康食指数: AHEI-2010)・アルコール摂取量・BMI・喫煙・身体活動・座位テレビ視聴時間・睡眠時間という行動因子とSESとの関連を評価する前向コホート研究を行った。データは、Health Professionals Follow-up Study(HPFS)・Nurses' Health Study(NHS)・Nurses' Health Study II(NHS2)を使用し、心血管疾患(CVD)については152,192名、2型糖尿病(T2D)については151,217名、死亡については141,145名のアウトカムデータを分析した。
結論
食事と健康アウトカムとの関連は、個人・地域近隣のSESの調整後もほとんど変化がなかったが、食事を含む行動要因は、地域近隣のSESと健康アウトカムとの関連の大部分を占めていた。
評価
長期観察研究で食事パターンと主要健康アウトカムとの関連が確定しているが、最近の研究では、交絡因子の広範性が議論されている。SESによる交絡ついて懸念が提起されてきたが(https://www.bmj.com/content/347/bmj.f6698)、この研究は大規模調査により、地域近隣のSESと健康アウトカムとの関連が、行動因子によって大部分説明できる、とした。著者らは、ここでの結果から、SES格差の全般的縮小なしでも、個人は健康行動によって健康アウトカムを改善できる、と示唆している。