夫婦間暴力を経験した子供は、成人後の心血管疾患リスクが36%上昇する
Childhood Exposure to Interparental Physical Violence and Adult Cardiovascular Disease
背景
小児期の有害体験は心血管疾患(CVD)の長期リスクと関連しているとされるが(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29254928/、https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33938232/)、小児期に両親間の暴力を経験した子供のCVDリスクは。
アメリカHarvard T.H. Chan School of Public HealthのWuらは、China Health and Retirement Longitudinal Study(CHARLS)における10,424名の追跡観察データを分析した。
アウトカム指標は、心疾患(心筋梗塞・狭心症・冠状動脈疾患・心不全・その他)および脳卒中である。
結論
17歳より前に両親間の身体的暴力を経験した参加者は、8.4%であった。小児期における両親間の身体的暴力の経験は、成人後のCVD(HR 1.36)・心疾患(1.36)・脳卒中(1.28)の発症リスク増加と関連していた。この有害体験は、うつ症状の有病率をより高めており(25.4%)、うつはCVDリスク上昇との関連の11.0%を媒介していた(HR 1.26)。
評価
欧米での幼少期逆境問題(ACE)に関しては、すでにメタアナリシスが存在しており、その10%低減は、300万DALYs/$105 billionの効果をもたらす、としている(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31492648/)。
このHarvard Chan研究は、両親間の暴力への小児期の曝露という特定のACEが、CVDの長期リスクとなるということを、中国の大規模データで初めて確認した。