夫婦間暴力を経験した子供は、成人後の心血管疾患リスクが36%上昇する
Childhood Exposure to Interparental Physical Violence and Adult Cardiovascular Disease

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
December 2024
7
開始ページ
e2451806

背景

小児期の有害体験は心血管疾患(CVD)の長期リスクと関連しているとされるが(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29254928/https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33938232/)、小児期に両親間の暴力を経験した子供のCVDリスクは。
アメリカHarvard T.H. Chan School of Public HealthのWuらは、China Health and Retirement Longitudinal Study(CHARLS)における10,424名の追跡観察データを分析した。
アウトカム指標は、心疾患(心筋梗塞・狭心症・冠状動脈疾患・心不全・その他)および脳卒中である。

結論

17歳より前に両親間の身体的暴力を経験した参加者は、8.4%であった。小児期における両親間の身体的暴力の経験は、成人後のCVD(HR 1.36)・心疾患(1.36)・脳卒中(1.28)の発症リスク増加と関連していた。この有害体験は、うつ症状の有病率をより高めており(25.4%)、うつはCVDリスク上昇との関連の11.0%を媒介していた(HR 1.26)。

評価

欧米での幼少期逆境問題(ACE)に関しては、すでにメタアナリシスが存在しており、その10%低減は、300万DALYs/$105 billionの効果をもたらす、としている(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31492648/)。
このHarvard Chan研究は、両親間の暴力への小児期の曝露という特定のACEが、CVDの長期リスクとなるということを、中国の大規模データで初めて確認した。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)