アナボリックアンドロゲンステロイド心障害の原因は冠微小循環障害(CMD)
Coronary Microvascular Dysfunction Years After Cessation of Anabolic Androgenic Steroid Use
背景
アナボリックアンドロゲンステロイド(AAS)の長期使用は、左室肥大・収縮機能低下を伴う心不全・早期突然死の高リスクと関連するが、その進行メカニズムは。
デンマークCopenhagen UniversityのKistorpらは、心血管疾患の既往歴がなく、レクリエーションとして筋力トレーニングを行っている男性90名(平均年齢 35.1歳)の心筋血流予備能(MFR)を82RbPET/CTで測定し、AASの使用の有無による冠微小循環障害(CMD)リスクを検討した。
結論
MFR低下は、現在AASを使用している参加者の18.8%、過去に使用していた参加者の3.2%でみられたが、対照群ではみられなかった。経度MFR低下(2.5 mL/g/分未満)は、現在AASを使用している参加者の28.1%、ステロイドを中止した参加者の25.8%、対照群の3.7%にみられた。
過去にAASを使用したことのある参加者を対象とした多変量ロジスティック回帰モデルでは、AASの累積週使用期間が2倍になるごとに、MFRが2.5未満に低下するリスクが2倍に増加した(オッズ比 2.1)。
評価
長年の問題であり、古典的レビユーは、心血管‐代謝系への複合効果を示唆していた(https://doi.org/10.1016/j.amjcard.2010.05.013)。この研究は、MFR測定によりAASのCMD高リスクを初めて同定したもので、著者らはこれが「AAS使用者の頻繁・早期の心疾患の根本的メカニズムであり、将来的に介入標的となりえる」としている。著者らはまた、ステロイド使用者中少数派である女性を対象に同様の研究を行う予定だという。