ワイン摂取の心血管疾患リスク低減効果を尿中酒石酸量で定量化:PREDIMED
Urinary tartaric acid as a biomarker of wine consumption and cardiovascular risk: the PREDIMED trial
背景
少量または適度なワイン消費は、心血管疾患(CVD)リスクの低下と関連するという報告があるが、ワイン消費に関する自己報告は主観的で、測定誤差が生じやすい。
スペインUniversity of BarcelonaのEstruchらは、PREDIMED試験の参加者中、CVD新規症例患者685名とランダムサブコホート625名を対象に、ワイン消費の客観的バイオマーカーである尿中酒石酸量と、複合CVDイベント発生率との関連を評価した。
自己報告によるワインの消費量を、検証済み食品摂取頻度質問票を使用して記録した。ベースラインと1年後の尿中酒石酸量を、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)で測定した。
結論
酒石酸量はベースラインでの自己申告によるワイン消費量と相関していた(r=0.46)。
尿中酒石酸量<1 μg/mLの参加者と比較して、尿中酒石酸量3〜12 μg/mL(少量のワインの摂取[1ヵ月あたり約3〜12杯])の参加者では、CVDリスクが38%低下し、12〜35 μg/mL(中程度の摂取[1ヵ月あたり12〜35杯])で、この低下率は50%に達したが、35 μg/mLを超えると、予防効果はなかった。
自己申告によるワイン消費量とCVDリスクの間には、強い有意相関はみられなかった。
評価
「地中海食(MedDiet)」の効果を評価した最大の臨床試験PREDIMEDの研究者らによる、ワインの心血管疾患(CVD)予防効果の確定の試みである。客観的バイオマーカーの導入により、ワイン摂取のCVDへのインパクトを初めて定量的に示した。重要な所見であり、追試が期待される。著者らは、「ワイン摂取の適当なタイミングは食事中であり、食間には飲むべきでない」としている。