ICUの面会時間を拡大すると患者家族の心的外傷後ストレス症状が減る
Long-term effects of flexible visitation in the intensive care unit on family members' mental health: 12-month results from a randomized clinical trial
背景
ICU Visits Studyは、ブラジル36施設の集中治療室をクロスオーバーランダム化し、柔軟な面会時間(1日12時間まで)と制限的な面会時間(4.5時間まで)がせん妄発症率に与える影響を検証したクラスターランダム化比較試験であり、面会時間を柔軟化してもせん妄(一次アウトカム)やICU感染症、スタッフのバーンアウトに変化がないことを報告している(http://doi.org/10.1001/jama.2019.8766)。
ブラジルHospital Moinhos de Ventoのde Souzaらは、同試験における、ICU退室後12ヵ月時点での患者家族(n=519)の心的外傷後ストレス症状、不安、抑うつ症状について報告した。
結論
分析に含まれた家族の71.1%は女性で、平均年齢は46.6歳であった。
制限的な面会時間に割り付けられた家族と比較して、柔軟な面会時間の家族は心的外傷後ストレス症状の有病率が有意に低かった(21% vs. 30.5%, 調整後有病率比[aPR] 0.91)。不安症状(28.9% vs. 33.2%, aPR 0.93)、抑うつ症状(19.2% vs. 25%, aPR 0.78)の差は有意ではなかった。
評価
フレキシブルな面会体制が、患者家族の長期的な心的外傷後ストレス症状を軽減することをを確認した。
面会制限が患者家族に与える心理的影響は、コロナ禍を経て、より広く理解されるようになったが、パンデミック以前に行われた本試験の結果も面会体制の重要性を強調するものといえる。