外傷患者での初期の制限的酸素投与、リベラル投与と差なし:TRAUMOX2試験
Early Restrictive vs Liberal Oxygen for Trauma Patients: The TRAUMOX2 Randomized Clinical Trial
背景
重症患者での高酸素血症は、死亡・合併症リスクの増加と関連することが示唆されており、各種急性疾患に対する至適な酸素投与戦略を決定するためのランダム化試験が行われている。
デンマークRigshospitaletのArlethらは、ヨーロッパ3ヵ国の15の病院前医療拠点、5つの外傷センターにおいて、直接搬送され、24時間以上の入院が予想される成人患者を、パルスオキシメーターでの動脈血酸素飽和度(SpO2)94%を目標とする8時間の制限的酸素投与、毎分12〜15 Lないし、吸入酸素濃度0.6〜1.0での8時間のリベラル酸素投与へと割り付け、30日以内の死亡・重大呼吸器合併症について比較するRCTを実施した(n=1,979)。
結論
30日以内の死亡または重大な呼吸器合併症は、制限的投与群の16.1%、リベラル投与群の16.7%に発生した(オッズ比 1.01, 絶対差 0.56%)。死亡、重大な呼吸器合併症のそれぞれについても有意な群間差はなかった。
有害事象、重篤有害事象は両群同等であったが、無気肺は制限的投与群で稀であった(27.6% vs. 34.7%)。
評価
メタ解析は高酸素を回避することの有益性を示唆しているが(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)30479-3)、この試験では、外傷初期の酸素投与戦略はアウトカムに差をもたらさなかった。
重症患者での酸素化目標については、4万人の登録を目指すMega-ROX試験が進行中であり(ANZCTRN 12620000391976)、外傷患者のサブセットについても情報がもたらされるだろう。