電子アラートを使った敗血症スクリーニングで院内死亡が減少:SCREEN試験
Electronic Sepsis Screening Among Patients Admitted to Hospital Wards: A Stepped-Wedge Cluster Randomized Trial
背景
敗血症のアウトカム改善には早期発見と早期治療が不可欠と考えられているが、敗血症スクリーニングプログラムの効果についてはエビデンスが一致していない。
サウジアラビアKing Abdulaziz Medical CityのArabiらは、同国の5施設45病棟を、異なるタイミングで電子的敗血症スクリーニングを導入する9シークエンスへとランダムに割り付け、90日死亡率および11種の二次アウトカムに与える影響を評価するステップウェッジ方式によるクラスターRCT、SCREEN試験を実施した。
電子的敗血症スクリーニングは、quick Sequential Organ Failure Assessment(qSOFA)に基づく電子アラートをあらかじめ電子カルテにサイレントモードで実装しておき、スクリーニング期への移行時に有効化する方法で導入された。
結論
スクリーニング期に29,442名、非スクリーニング期に30,613名の患者が治療を受けた。
アラートは、スクリーニング群の14.6%、非スクリーニング群の17.6%で発生した。スクリーニング群の患者では、アラートから12時間以内で血清乳酸血測定(調整相対リスク 1.30)、静脈内輸液のオーダー(調整相対リスク 2.17)が行われる可能性が高かった。
電子的スクリーニングは、90日院内死亡率を有意に低下させた(調整相対リスク 0.85)。また、スクリーニングは、昇圧剤の使用、新規の多剤耐性菌を減少させ、コードブルー発生、腎代替療法、新規のC difficileを増加させた。
評価
先行する小規模RCTの結果は一貫性に欠けていたが、患者数6万人を超える大型試験により、敗血症スクリーニングの有効性を証明した。
ただし、敗血症の早期警告スコアとしてqSOFAが最善であるか、については依然として議論があり、また別の検証を必要とするだろう。