再発・難治B細胞性ALLに新規CAR-T細胞療法obe-celが登場:FELIX試験
Obecabtagene Autoleucel in Adults with B-Cell Acute Lymphoblastic Leukemia
背景
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法はB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)に対して持続的な奏効を示しており、チサゲンレクルユーセル(tisa-cel)をはじめ、複数の製品が承認を受けている。
イギリスUniversity College LondonのRoddieらは、従来の単鎖可変領域フラグメント(scFv)より親和性の低いscFvを持つ抗CD19 CAR-T細胞療法薬、obecabtagene autoleucel(obe-cel)の安全性・有効性を調査するため、スペイン・イギリス・アメリカの34施設で、再発・難治B細胞性ALL成人患者を対象とする第1b-2相多施設共同試験、FELIX試験を実施した。
結論
登録された153名のうち、83%にあたる127名が1回以上のobe-cel投与を受けた。
第2相パートの中心コホート2A(n=94)では、追跡期間20.3ヵ月(中央値)で77%が全寛解(完全寛解および不完全な血液学的回復を伴う完全寛解)を認め、55%が完全寛解であった。
1回以上のobe-cel投与を受けた患者の無イベント生存期間(中央値)は11.9ヵ月であり、6ヵ月・12ヵ月無イベント生存率はそれぞれ65.4%、49.5%であった。また、全生存期間(中央値)は15.6ヵ月であり、6ヵ月・12ヵ月無イベント生存率はそれぞれ80.3%、61.1%であった。
グレード3以上のサイトカイン放出症候群は2.4%、グレード3以上の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は7.1%で発生したが、リンパ球枯渇化前の骨髄負荷の高い患者に限定された。
評価
抗原認識ドメインscFvの高い親和性は強い抗腫瘍活性に繋がる一方で、抗原発現の少ない組織へのon-target/off-tumor毒性が問題となる。親和性を弱めたobe-celは免疫毒性を抑えつつ、半数以上の患者に完全寛解をもたらし、この結果により、食品医薬品局(FDA)の承認を得た。