元プロサッカー選手の認知症高リスクは生活習慣とは関連しない
Health and Lifestyle Factors and Dementia Risk Among Former Professional Soccer Players

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
December 2024
7
開始ページ
e2449742

背景

元プロサッカー選手は認知症発症リスクが高いが、健康状態や生活習慣といった修正可能な認知症リスク因子の保有率との関連は。
イギリスQueen Elizabeth UniversityのStewartらは、スコットランドの元プロサッカー選手11,984名と一般集団の対照群35,952名の電子健康記録(EHR)のデータに基き、喫煙・うつ・アルコール関連障害・糖尿病・高血圧・難聴・肥満の有病率と認知症の発症との関連性を評価し、両群間の認知症の主なリスク要因を比較した。

結論

中央値21年間の追跡期間において、元サッカー選手の3.62%と対照群の1.26%に認知症の診断があった(HR  3.02)。元サッカー選手の全般的な健康状態と生活習慣による認知症のリスク要因の割合は、マッチした対照群と比較して同等かそれより低かった(例:糖尿病 4.26% vs. 6.35%)。サッカー選手におけるこれらの因子に関連する認知症リスクは、対照群と同等かそれより低かった(例:高血圧のHR 4.62 vs. 6.96)。

評価

著者らは、2019年のFIELD試験(https://www.medicalonline.jp/review/detail?id=4086)において、プロサッカー選手の神経変性疾患による死亡率が3.5倍、アルツハイマー型認知症リスクは5倍高いことを実証した。さらに2021年の追加研究では、キャリアの長さと認知症リスクに関連があり、キャリアが最も長い参加者では神経変性疾患のリスクが最大5倍に増加することが示された。この研究は、キャリア固有のリスクが、生活習慣の影響を無効化することを示唆している。著者らは、「一般的な健康状態や生活習慣のリスク要因への介入は引き続き推奨されるべきだが、コンタクトスポーツ選手の神経変性疾患リスク軽減の優先事項は、可能な限り、反復的な頭部衝撃や外傷性脳損傷への曝露の軽減、あるいは除去に引き続き重点を置くべきである。」としている。

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