大血管閉塞を伴う急性虚血性脳卒中に対するバルーンガイドカテーテル:PROTECT-MT
Balloon guide catheters for endovascular thrombectomy in patients with acute ischaemic stroke due to large-vessel occlusion in China (PROTECT-MT): a multicentre, open-label, blinded-endpoint, randomised controlled trial
背景
前方循環大血管閉塞(LVO)を伴う急性虚血性脳卒中(AIS)患者における機械的血栓回収療法(MT)中のバルーンガイドカテーテル(BGC)使用は、有益か。
中国Naval Medical UniversityのLiuらは、中国28施設において、発症から24時間以内にMTを施行する患者329名を対象に、MT中のBGCの使用の有効性と安全性を、従来のガイドカテーテルの使用と比較するRCTを実施した。一次アウトカムは、機能回復である(90日後のmodified Rankin Scale[mRS]の変化)。
結論
BGC使用の一次アウトカム劣性を認めた(オッズ比 0.66)。90日後の全死亡率も、BGC群が対照群より高かった(24% vs. 16%)。頭蓋内出血・症候性頭蓋内出血他の重篤有害事象に群間差はなかった。
評価
このテーマに関しては、2021のメタアナリシスを継いだ2024のメタアナリシスが、BGC使用を有益と判定しつつも、「RCTのないことが問題」としていた(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38296042/)。PROTECT-MTは、待望の最大規模RCTだったが、意外にもネガティブ結果を出した。すでに欧米のガイドラインで推奨または好ましいとされている手法であり(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31662037/、https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31152058/)、ガイドラインに高インパクトを与える。欧米での同規模の追試が正当化される。