ホルモン療法後のHER2低発現乳がんでもトラスツズマブ デルクステカンが効果:DESTINY-Breast06試験
Trastuzumab Deruxtecan after Endocrine Therapy in Metastatic Breast Cancer

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
December 2024
391
開始ページ
2110

背景

トラスツズマブ デルクステカン(TDXd)は、これまで抗HER2療法の恩恵を受けて来なかったHER2低発現乳がんに対して有効性を示している抗体薬物複合体である。
アメリカUniversity of California, Los Angelesのardiaらは、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現(免疫組織化学染色法[ICH]で1+または2+)または超低発現(ICH 0)で、転移性疾患について1ライン以上の内分泌療法歴を有し、化学療法歴のない乳がん患者を対象に、TDXdまたは主治医選択化学療法を割り付け、無増悪生存期間・その他のアウトカムを比較する第3相RCT、DESTINY-Breast06試験を実施した(n=866)。

結論

713名がHER2低発現、153名がHER2超低発現患者であった。
HER2低発現患者の無増悪生存期間は、TDXd群で中央値13.2ヵ月、化学療法群では中央値8.1ヵ月であった(ハザード比 0.62)。HER2超低発現患者での探索的解析でも同様の結果が得られた。全生存期間のデータはimmatureであった。
グレード3以上の有害事象は、TDXd群の52.8%、化学療法群の44.4%で発生した。

評価

HER2低発現乳がんは、DESTINY-Breast04試験においてTDXd標的化が可能な臨床実体として確立されたが(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2203690)、本試験では、ホルモン療法後のHER2低発現患者、さらにHER2超発現患者においても化学療法を上回るPFSを示した。
ホルモン抵抗性となった患者で考慮すべき新オプションとなる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)