FHS2世代研究が示す、「禁煙は心血管リスクを減らすが残す」
Association of Smoking Cessation With Subsequent Risk of Cardiovascular Disease
背景
Framingham Heart Studyは、心血管系疫学の最上のデータベースの一つである。同研究のDuncanら(Vanderbilt University)は、1954〜2014年の2世代に及ぶ8,770名のデータに基づき、禁煙年数と心血管疾患発症の関係を検討した。一次アウトカムは心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中・心不全・心血管疾患因死亡)の発生である。主解析は2世代コホートで行い、ヘビースモーカー(1年に20箱以上)のみを対象とした。
結論
ヘビースモーカー率は17%であった。フォローアップ期間中央値26.4年で、禁煙者(5年以内)の現喫煙者との比較における心血管疾患発症リスクの有意低下を確認した(HR:0.61)。しかし、喫煙経験者は禁煙10〜15年後でも、非喫煙者より心血管リスクが高かった(HR:1.25)。
評価
禁煙の心血管リスク削減効果は周知だが、現在5年以上禁煙すればリスクは非喫煙者とほぼ同等になる、という見解が広がっている。このFraminghamのデータはそれを否定した。