三尖弁TEERのQOLへの有益性を確認:Tri.Fr
Transcatheter Edge-to-Edge Repair for Severe Isolated Tricuspid Regurgitation: The Tri.Fr Randomized Clinical Trial
背景
重度三尖弁逆流(TR)への三尖弁経カテーテルedge-to-edge修復術(T-TEER)の至適薬物療法(OMT)への併用は、アウトカムを改善するか。
フランスUniversite de RennesのDonalら(Tri.Fr)は、フランス・ベルギー24施設において同患者300名をT-TEER+OMT群とOMTのみの対照群に割り付け、これを検証するRCTを行った。
一次アウトカムは、1年後のNYHAクラスの変化、患者全般評価(PGA)の変化、主要心血管イベントの発生である。
結論
T-TEER+OMT群の74.1%、OMT単独群の40.6%で一次複合エンドポイントが改善した。重度三尖弁逆流は、T-TEER+OMT群の6.8%、OMT単独群の53.5%に認められた。1年後の平均KCCQ総症状スコアは、T-TEER+OMT群で69.9、OMT単独群であった。KCCQスコア・PGA・全死因死亡・三尖弁手術・心不全(CV)入院までの期間(二次アウトカム)のWin Ratio(Win比)は2.06であった。
評価
「有益」とされる結果だが、T-TEERは、1年時点でのMACE発生率(84% vs. 80%)とCV死亡率(97% vs. 94%)高く、ハードアウトカムへのインパクトがなかった。これは、TRILUMINATE Pivotal(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2300525)と同様で、選択的患者集団に推奨されるべきオプションと位置付けられることになる。