CRISPR-Cas9によるATTR-CM遺伝子治療nexiguran ziclumeran、第3相へ
CRISPR-Cas9 Gene Editing with Nexiguran Ziclumeran for ATTR Cardiomyopathy
背景
ATTR心アミロイドーシストランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)への遺伝子治療の試みが進展している。
イギリスUniversity College LondonのFontanaらは、トランスサイレチン(TTR)遺伝子を標的化するCRISPR-Cas9を用いたnexiguran ziclumeran(nex-z)によるATTR-CM治療の第1相オープンラベル試験を行った。同患者36名(NYHAクラスIII 50%、変異型ATTR-CM 31%)にnex-zの単回静脈内注入を行い、12ヵ月追跡した。血清TTR値を含む安全性および薬力学に対するnex-zの効果を評価した。
結論
血清TTR値のベースラインからの平均変化率は、28日で−89%、12ヵ月で−90%であった。5名で一過性の注入関連反応、2名で治療関連の一過性の肝酵素上昇があった。重篤有害事象は14名にあったが、そのほとんどはATTR-CMの症状とみられた。ベースラインから12ヵ月までの因子変化は、NT-proBNP値が1.02、hs-cTnT値が0.95であった。6MWTのベースラインから12ヵ月までの平均変化は5 mであった。患者の92%はNYHAクラスが改善または変化無しであった。
評価
Intellia Therapeuticsによる同CRISPR-Cas9遺伝子編集療法は、肝でTTRを標的不活性化することで、TTR生成を抑制する。安全性はもとより、血清TTR値の低下も印象的である。すでに同社は、nex-zの第3相試験開始(MAGNITUDE)を発表しており、臨床効果が本格検証されることになる(https://ir.intelliatx.com/news-releases/news-release-details/intellia-therapeutics-announces-first-patient-dosed-phase-3)。