頭部外傷の血液マーカーは受傷後30分で検出可能 GFAPが最も高精度
Diagnostic Performance of GFAP, UCH-L1, and MAP-2 Within 30 and 60 Minutes of Traumatic Brain Injury

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Network Open
年月
September 2024
7
開始ページ
e2431115

背景

GFAP(グリア線維性酸性タンパク質)とUCH-L1(ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1)は、ともに頭部外傷における血液バイオマーカーであり、CT検査の必要性を判断する検査キットの形でアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受けている。
アメリカOrlando Regional Medical CenterのPapaらは、GCSが12以下の中等度・重度外傷性脳損傷(TBI)患者を対象に、病院前トラネキサム酸とプラセボを比較した多施設RCT、TXA試験において、GFAP・UCH-L1、およびMAP2(微小管結合タンパク質2)のパフォーマンスを検討した。

結論

試験集団966名のうち、563名で60分以内に、375名では30分以内に血液サンプルが採取された。
3つのバイオマーカーは、受傷後30分・60分以内、双方のサンプルで、CT上びまん性損傷の重症度と一致して有意に上昇した。CT病変の検出パフォーマンス(AUC)は、双方のサンプルで、GFAP、MAP-2、UCH-L1の順で高かった。脳外科的介入の必要性や臨床的に重要な早期アウトカムについても、30分以内に採取されたサンプルではGFAP、MAP-2、UCH-L1の順となった。
30分以内のサンプルにおける、GFAPカットオフ値(30 pg/mL)の感度は98.1%、特異度は34.4%であった。6,200 pg/mLを超えるGFAPレベルは、脳外科的介入の必要性、臨床的に重要な早期アウトカムのリスクと関連した。

評価

超早期にTBI患者の血液採取を行った臨床試験におけるコホート調査で、血液マーカーがTBI病変と関連すること、特にGFAPが突出して有用であることを示唆した。
病院前セッティングに導入されれば、より確度の高い搬送先決定を行い得る。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)