心筋虚血定量化におけるQFRのFFRへの非劣性を否定:FAVOR III Europe
Quantitative flow ratio versus fractional flow reserve for coronary revascularisation guidance (FAVOR III Europe): a multicentre, randomised, non-inferiority trial
背景
心筋虚血評価で、定量的冠血流比(QFR)は冠血流予備量比(FFR)に非劣性か。
デンマークAarhus UniversityのHolmら(FAVOR III Europe)は、欧州34施設において、慢性冠症候群/安定化後急性冠症候群(ACS)で、1つ以上の中等度非責任病変(目視による評価で直径40~90%狭窄)を有する18歳以上の患者2,000名を対象とするRCTにより、これを検証した。
一次エンドポイントは、12ヵ月時点での死亡・心筋梗塞・予定外血行再建術の複合である。
結論
QFRのFFRに対する非劣性は示されなかった[一次エンドポイントは、QFR群の6.7%とFFR群の4.2%に発生した(HR 1.63)]。イベント発生率差は2.5%で、非劣性マージン3.4%を超えた。両群で1.8%の患者が有害な処置イベントを経験し、最も頻繁に発生したのは処置関連の心筋梗塞で、QFR群で1.0%、FFR群で0.7%に発生した。QFR群の患者1名が、手技関連の腎不全で死亡した。
評価
FFRは欧米のガイドラインでレベルAエビデンスだが、ESCガイドラインでエビデンスBであるQFRへの選好が世界的に強かった。この選好はFAVOR III Chinaのポジティブ結果で強化され、FAVOR III Europeはそれを上書きすると予期された「オール欧州」の大規模検証だったが、予想外の結果となった。ガイドラインへのインパクトはもとより、探索されつつある他のワイアフリー技術の開発にも影響を与える重要結果である。