急性脳出血への漢方FYTF-919投与は効果示せず:CHAIN試験
Traditional Chinese medicine FYTF-919 (Zhongfeng Xingnao oral prescription) for the treatment of acute intracerebral haemorrhage: a multicentre, randomised, placebo-controlled, double-blind, clinical trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
November 2024
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背景

漢方薬は西洋医学とは異なる理論に従う薬物療法で、東アジアを中心に広く処方されている。中国でも中医学に由来する多くの薬剤が日常的に使用されており、近年は臨床的エビデンスの構築も進んでいる。
中国Second Affiliated Hospital of Guangzhou University of Chinese MedicineのGuoらは、同国で脳内出血患者に対して20年以上使用されている経口処方薬Zhongfeng Xingnao(FYTF-919)の安全性・有効性を検証するべく、同国26施設で発症48時間以内かつ中等度・重度神経障害を呈する症候性特発性脳内出血患者を、FYTF-919またはプラセボへと割り付ける多施設共同RCTを実施した。

結論

9,000名の患者がスクリーニングされ、1,648名がランダム化された。
90日時点でのUtility-weighted modified Rankin scale(UW-mRS)スコアの平均は、FYTF-919群で0.44、プラセボ群で0.44と差がなかった。
重篤有害事象にも有意差はなかった。

評価

エビデンスに乏しいとされてきた漢方処方だが、近年では、急性心筋梗塞に対するTongxinluoの検証結果がJAMAに掲載されるなど、EBMの元での再評価が推し進められている。
ただし、4種の漢方(紅参、三七、川芎、大黄)を配合した本試験のFYTF-919は、効果を示すことはできなかった。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)