持続性頻脈を伴う敗血症性ショック患者へのランジオロールは有効か?:Landi-SEP試験
Landiolol for heart rate control in patients with septic shock and persistent tachycardia. A multicenter randomized clinical trial (Landi-SEP)

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Intensive Care Medicine
年月
September 2024
50
開始ページ
1622

背景

短時間作用型β遮断薬ランジオロールは、近年、頻脈が持続する敗血症性ショック患者での有効性が示唆されている。日本のJ-Land 3S試験は、ランジオロールによって敗血症関連頻脈における目標心拍数への到達が増加すると報告した一方、直近のイギリスSTRESS-L試験は、ランジオロールのベネフィットを証明することに失敗した。
ドイツUniversity Hospital of BielefeldのRehbergらは、ヨーロッパ7ヵ国20施設で、持続性頻脈を伴う敗血症性ショック患者に対し、標準治療とランジオロールの併用、または標準治療のみを割り付け、心拍数に対する効果を検証する第4相非盲検RCT、LANDI-SEP試験を実施した(n=200)。

結論

治療開始後24時間で、昇圧剤なしに心拍数が目標値(80-94回/分)を維持した患者の割合は、ランジオロール群で39.8%、対照群では23.5%であった。
心拍数目標値に到達した患者の割合は、ランジオロール群75.5%、対照群42.9%であった。その他、28日死亡率、ICU死亡率、入院期間などには有意な群間差を認めなかった。

評価

登録予定数の1/3で終了したSTRESS-L試験を上回る、過去最大のRCTであり、ランジオロール群の患者でより多くの心拍数低下がもたらされることを実証した。ただ、ハードアウトカムについては群間差がなく、この試験集団では頻脈治療を行う必要がないことを示唆している。
同テーマでHyperBetashock試験(NCT04748796)も行われており、有効患者の絞り込みに寄与するデータが期待される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)