T2D患者に対するSGLT2阻害薬心血管有益性をリアルワールドで確認
Cardiovascular Risks With SGLT2 Inhibitors in Clinical Practice Among Patients With Type 2 Diabetes
背景
2型糖尿病(T2D)患者におけるSGLT2阻害薬(SGLT2i)またはDPP4阻害薬(DPP4i)使用は、心血管疾患(CVD)リスクを低減する、とされている。
台湾National Cheng Kung UniversityのOuらは、同機関の電子医療記録を用いて、1,632組のT2D患者を対象に、SGLT2i/DPP4iの全CVDとの関連を分析する後向きコホート研究を行った。最大追跡期間は6年間であった。
一次アウトカムは、複合CVDイベント全体およびその個々のCVDサブタイプ(心房細動・冠動脈性心疾患・心不全・脳卒中・心筋梗塞・一過性脳虚血発作)である。
結論
SGLT2iはDPP4iと比較して、コホート全体の総CVDリスクの18%軽減と関連したが、初回CVDイベント減少とは関連しなかった。CVD既往があるサブグループで、治療による最大のメリット(リスクの最大28%の減少)がみられた。治療は男性よりも女性で効果的であった(CVD既往のあるサブグループでのHR 0.59)。
評価
T2DにおけるSGLT2iの心血管保護効果は、EMPA-REG OUTCOME以来複数のRCTで確認されており、ここでの結果は、それをアジア人のリアルワールド条件で再確認したものである。著者らは、アジア人女性での著効に注目しており、それがCKD併発女性T2D患者におけるCVDリスクの高さと関連するのではないか、と示唆している。