新たな樹状細胞ワクチンで切除可能膵がんの2年無再発率64%
Dendritic Cell-Based Immunotherapy in Patients With Resected Pancreatic Cancer

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
September 2024
42
開始ページ
3083

背景

膵がんは根治的切除が可能であった場合でも再発率が高く、長期生存は稀であり、他の癌種で高い効果を示す免疫療法も奏効は限られている。
オランダErasmus MC Cancer Instituteのvan 't Landらは、標準治療を受けたパフォーマンス・ステータス良好な切除後膵がん患者において、樹状細胞ワクチンを隔週で計3回(無再発の場合はさらに5回まで)投与し、無再発生存率(RFS)を評価する単施設第1/2相試験を実施した。
ワクチンは、患者から白血球アフェレーシスでCD14+単球を採取し、分化された樹状細胞に同種中皮腫の腫瘍細胞溶解液を注入し、9日間培養することで製造された。

結論

治療開始までに再発した5名を除き、38名が解析に含まれた。74%がプロトコルを完了した(5回の樹状細胞ワクチン接種)。ほか8%が4回、16%が3回のワクチン接種を受けた。
追跡期間の中央値25.5ヵ月で、68%は無再発で経過し、推定2年RFSは64%であった。
ワクチン接種は、循環血中の活性化したCD4+ T細胞を増加させ、in vitroでの治療誘導性の免疫応答をもたらした。また、ワクチン特異的T細胞は、切除された孤立性肺転移においても流入が認められた。

評価

同種中皮腫の腫瘍溶解物を抗原としてパルスされた樹状細胞を用いる樹状細胞ワクチン療法で(https://doi.org/10.1158/1078-0432.CCR-17-2522)、本試験の第2相パートでは、2年RFS率64%、2年生存率83%という成績を示した。
切除後早期に再発する集団が含まれていないというバイアスはあるものの、ベンチマーク(PREOPANC試験)を大きく上回っており、ランダム化試験による検証が望まれる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)