良好な予後と関連する免疫関連有害事象(irAEs)は内分泌・皮膚系
Multi-organ immune-related adverse events from immune checkpoint inhibitors and their downstream implications: a retrospective multicohort study
背景
免疫チェックポイント阻害薬を投与されたがん患者では、免疫関連有害事象(irAEs)と呼ばれる特有の副作用が現れることがあり、管理の必要が生じるが、一方で、irAEsを経験する患者の方が予後が良いことも報告されている。
アメリカMassachusetts General HospitalのWanらは、同施設を含む先進3施設(MGBDコホート, n=15,246)およびアメリカの集団ベースTriNetXネットワーク(n=50,503)で、一般的な7種の免疫チェックポイント阻害薬を投与された患者を同定し、複数臓器のirAEsの共起パターン、および生存アウトカムとの関連を調査した。
結論
傾向スコアによってマッチングされたコホートでは、MGBDコホートの37.7%、TriNetXネットワークの30.5%にirAEsが認められた。共発現したirAEsを発生臓器によって分類すると、内分泌、皮膚、呼吸器、消化器、肝臓、筋骨格、神経、の7クラスターに分類された。
MGBDコホートでは、このうち内分泌系(ハザード比 0.53)、皮膚系(0.61)のirAEsを主に発症した患者クラスターで、6ヵ月生存率が良好であり、呼吸器系のirAEsでは生存率が悪化した(1.60)。TriNetXネットワークでも同様の傾向があったが、こちらでは神経系のirAEsでも生存率の悪化がみられた(1.30)。
評価
irAEsの共発現は複数のクラスターに分類可能であり、内分泌系、皮膚系の発現パターンがみられた患者では死亡リスクが低かった。
irAEsのモニター・管理を助けるだけでなく、効果が見込めない患者では、切り替えも含めた治療の最適化を促す知見となろう。

