梗塞後心筋での好中球アラーミンS100A9とそのブロッカー
Inhibition of pro-inflammatory myeloid cell responses by short-term S100A9 blockade improves cardiac function after myocardial infarction
背景
梗塞後心筋修復における免疫細胞‐間質細胞間相互作用の重要性が注目されている。スウェーデンLund UniversityのMarinkovicらは、マウスMIモデルを用いて好中球アラーミンS100A8/A9の役割を検討し、更に急性冠症候群(ACS)患者524名の患者でそれを実測した。
結論
ACS急性期患者における血漿S100A8/A9高値は一年時点での左室駆出率低値と、またフォローアップ期間中の心不全入院増とも関連した。実験的MIマウスを炎症性反応期にS100A9ブロッカーABR-238901処置すると、造血幹細胞の増殖、骨髄からの骨髄細胞の放出が阻害された。クリニカルシナリオを模倣した虚血/再灌流マウスモデルにおいても同処置の治療効果が確認された。
評価
今年に入り、S100a8/a9 がミトコンドリア機能を抑制して虚血‐再潅流期の心筋細胞死を導く、という結果も報告されており(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31220942)、この系への注目度は高い。臨床架橋の試みが期待される。