HFmrEF・HFpEFに対するMRAの効果を確定:メタアナリシス
Mineralocorticoid receptor antagonists in heart failure: an individual patient level meta-analysis
背景
左室駆出率低下心不全(HFrEF)患者に対するミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の有効性が確立されているが、左室駆出率軽度低下心不全(HFmrEF)患者および左室駆出率保持心不全(HFpEF)患者への効果は確定されていない。
イギリスUniversity of GlasgowのMcMurrayらは、4RCT(RALES・EMPHASIS-HF・TOPCAT・FINEARTS-HF)の個別患者レベルメタアナリシスを行い、この問題を検討した(n=13,846)。一次アウトカムは、心不全による初回入院または心血管死までの期間の複合である。
結論
HFmrEF/HFpEF患者に対するMRAの一次アウトカム効果を確認した(HR 0.77)。ただし、HFrEF(0.6)に対する効果の方がHFmrEF/HFpEF(0.87)よりも優った[HFrEFでは心血管死が減少した(0.72)が、HFmrEF/HFpEFでは減少せず(0.92)、全死因死亡もHFrEFでは減少した(0.73)が、HFmrEF/HFpEFでは減少しなかった(0.94)]。MRAでは、プラセボと比較して高カリウム血症リスクが倍増した(オッズ比[OR] 2.27)が、重篤例(血清カリウム値 >6.0 mmol/L)は少なく(2.9% vs. 1.4%)、低カリウム血症(<3.5 mmol/L)のORは、0.51だった。
評価
ガイドラインが未決状態であった問題に対する、タイミングの良いメタアナリシスで、ステロイド系・非ステロイド系を問わず、MRAがHFmrEF/HFpEF患者の治療オプションであることを確定した。ただし、HFrEFの場合より効果幅が少ないことも確認しており、また MRAがHFmrEF/HFpEFに対するファーストチョイスであるとしたものでもない。