HFpEF患者におけるセマグルチドとプラセボの比較:SELECT、FLOW、STEP-HFpEF、STEP-HFpEF DMの統合解析
Semaglutide versus placebo in patients with heart failure and mildly reduced or preserved ejection fraction: a pooled analysis of the SELECT, FLOW, STEP-HFpEF, and STEP-HFpEF DM randomised trials
背景
STEP-HFpEFとSTEP-HFpEF DMは、GLP-1受容体作動薬セマグルチドの駆出率保持心不全(HFpEF)肥満患者への有益性を示したが、心不全イベントも軽減するか。
アメリカUniversity of MissouriのKosiborodら(STEP-HFpEF DM Trial Committees and Investigators)は、4つのRCT(SELECT・FLOW・STEP-HFpEF・STEP-HFpEF DM)の参加者レベル事後プール解析を行い、心不全イベントに対するセマグルチドの効果を評価した(n=22,282)。
一次エンドポイントは、心血管死または心不全イベント(心不全による入院または緊急受診と定義)、心不全イベントの初回増悪までの期間、心血管死までの期間の複合である。
結論
HFpEF患者に対するセマグルチドの一次エンドポイント効果を認めた(HR 0.69)。心不全増悪リスクも低下させた(0.59)が、心血管死単独リスクにプラセボに対する有意差はなかった。セマグルチド群患者は、プラセボ群患者より重篤有害事象発生率が低かった(29.9% vs. 38.7%)。
評価
Novo Nordisk支援による最大のプール解析で、肥満HFpEF患者に対するセマグルチドの有益性を確定した。HFpEF一般に対する第一選択薬となりうるか、が次の重要問題である。