ヘッドセットが捉える頭部のパルスで主幹動脈閉塞が特定できる
Headpulse measurement can reliably identify large-vessel occlusion stroke in prehospital suspected stroke patients: Results from the EPISODE-PS-COVID study
背景
主幹動脈閉塞(LVO)脳卒中の治療では、高度治療が可能な施設への迅速な搬送が重要であり、病院前でLVOを特定する方法の研究が進んでいる。
アメリカWayne State University School of MedicineのPaxtonらは、同国の4地域にある11の参加病院において急性脳卒中が疑われる成人患者を21ヵ月に渡って連続登録し、頭部加速度計と3本のECGリード線を組み合わせたヘッドセット(Harmony 5000, MindRhythm Inc.)を救急隊員によって装着することの実現可能性、および同デバイスのLVO脳卒中の検出精度を評価する前向研究(EPISODE-PS-COVID)を実施した。
結論
登録された594名のうち、前世代デバイスの使用、参加への不同意などを除外した183名が対象となり、うち86.3%で利用可能なデータが得られた。
26名がLVOと診断され、33名がLVOでない急性虚血性脳卒中、9名が頭蓋内出血、90名はmimicであった。
LVO脳卒中の検出について、病院前評価ツール(Los Angeles Motor Scaleが4以上)の感度は38.5%、特異度は82.7%であったのに対し、ヘッドセットデバイスとLAMSを組み合わせた感度は84.6%、特異度は82.6%であった。
評価
頭部の高感度加速度計によって、心拍動が生成するヘッドパルスを捉えるデバイスで、さらにLAMSスコアを入力することでヘッドパルスとの組み合わせた評価も行ってくれる。
LAMSのみの場合と比較して、特異度を損なうことなく、偽陰性を大幅に減らしており、病院前トリアージを改善する可能性を秘めたデバイスである。