心筋梗塞での輸血トリガー値は低い方が良いのか
Effect of Four Hemoglobin Transfusion Threshold Strategies in Patients With Acute Myocardial Infarction and Anemia : A Target Trial Emulation Using MINT Trial Data

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Internal Medicine
年月
October 2024
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開始ページ
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背景

MINT試験は、世界6ヵ国144施設で、ヘモグロビン値8 /dL未満の心筋梗塞患者(n=3,504)を、7 g/dLまたは8 g/dLのカットオフによる制限輸血群、または10 g/dLによる非制限的(リベラル)輸血群へと割り付け、30日までの心筋梗塞/死亡(一次複合アウトカム)を比較した第3相RCTであり、リベラル輸血群でアウトカム良好な傾向がみられたものの、有意な差は示されなかった(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2307983)。
アメリカUniversity of PittsburghのPortelaらは、同試験のデータを用いた二次解析として、4つの異なるヘモグロビン閾値(<10 g/dLから<7 g/dLまで)による輸血戦略の有効性をエミュレートした。

結論

30日間の心筋梗塞/死亡リスクは、<10 g/dL戦略で14.8%、<9 g/dL戦略で15.1%、<8 g/dL戦略で15.9%、<7 g/dL戦略で18.3%であった。<10 g/dL戦略に対する絶対リスク差・リスク比は、低い閾値の戦略ほど増加したが、95%信頼区間は広かった。
30日死亡のみについても同様の結果となった。

評価

Target Trial Emulationと呼ばれるフレームワークを用いた仮想的RCTにより(https://doi.org/10.1093/aje/kwv254)、閾値が下がるごとに死亡リスクが増すらしいことを確認した。
信頼区間が広く確定的ではないものの、リベラル輸血を指向させるデータだろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)